墓地を目指す
プラハに到着して3日目、プラハ城やカレル橋など人の多い観光地に少し疲れていましたので、静かで、チェコやプラハの文化を感じられるところに行きたいと、ヴィシェフラド民族墓地へ向かいました。
時期は9月下旬で、雨が降っており肌寒い日でしたが、朝9時ごろから、トラムに乗ってヴィシェフラドへ向かいました。ブルタヴァ川沿いの集合住宅を眺めながら進むと、名所ではない建物にも美しい彫刻や装飾が施されており、見応えがありました。トラムやバスに乗って景色を眺めているだけで、プラハを感じられます。
15分ほどでヴィシェフラド民族墓地の最寄りのVýtoň停留所に到着。小雨が降る中、坂道と階段を登り民族墓地へ向かいます。坂の途中からはブルタヴァ川方面を見ると、ブダ城の姿が望めます。10分ほど坂を登ると、黒い壁と尖塔が印象的な聖ペテロ聖パウロ教会に到着しました。
民族墓地に入場
入口には地図があり、多くの方が眠る墓地であることがわかります。古い墓や新しい墓が入り混じり、歴史を感じるとともに、凝った装飾に驚きます。 何列にも並ぶお墓と、その周りを囲むように回廊があり、こちらにも大きなお墓があります。
有名な偉人のお墓も多く、その中で見つけたのは以下の方々です。
ベドルジハ・スメタナ
チェコの作曲家スメタナのお墓です。『モルダウ(チェコ語ではヴルタヴァ)』という曲で有名ですが、これは交響詩『我が祖国』の第2曲目。『我が祖国』の第1曲目は『ヴィシェフラド』ですから、まさにこのあたりがテーマとなっているのですね。 横顔のレリーフと楽譜を模した装飾が印象的です。
アントニン・ドヴォルザーク
回廊部分にチェコを代表する作曲家ドヴォルザークのお墓を見つけました。胸像があり、背景の壁にも彫刻が施されており立派でした。
カレル・チャペック
チェコの小説家カレル・チャペックのお墓は、ペンと本の形をしていました。 墓碑の前には植物が地植えされ、青々と茂った植物が元気そうで、少し畑のようにも見えました。
回廊にはモザイク画や大きな彫刻があり、立派な墓が目を引きます。多くの墓碑には故人の顔のレリーフや職業にちなんだ装飾が施されていて、まるで美術館の庭を散歩しているような感覚になりました。
暗い雰囲気はないですが、静かで穏やかな空気が流れていて、日本の墓地とは全く違う雰囲気でした。この経験を機に、他の墓地も訪れてみたいと思いました。
小雨の中、公園を散策
小雨で少し寒さを感じる日でしたが、訪問者はちらほら見かけました。学校行事と思われる中学生の団体も目にしました。墓地を後にし、公園を散策しながら地下鉄駅へ向かいました。公園は広々としており、彫刻や小さな小屋が点在する落ち着いた空間です。
途中、聖マルティンのロタンダにも立ち寄りました。聖マルティンのロタンダはプラハ最古のロタンダ(円筒型の建物)と言われています。 円筒形の建物に、アーチ型の窓と入り口があり、可愛らしい雰囲気です。小屋のような建物かと勝手に思っていましたが、意外と大きくしっかりした建築物でした。
天気が良ければさらに快適に散歩を楽しめそうです。訪れている人たちは観光客が少なく地元の人が多いように思いました。中心地の喧騒を離れて、その土地の文化や歴史を感じ、落ち着いた時間を過ごせる素敵な場所でした。
参考
ヴィシェフラド民族墓地に埋葬された人物のリスト
Seznam osobností pohřbených na Vyšehradě – Wikipedie (チェコ語)